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ベーシックインカムのある社会
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すべての個人に無条件で最低生活費を渡す。それがベーシックインカムです。これを研究するうちに、ベーシック・インカムは、社会正義を実現し、人間の自由を裏付け、経済を健全なものにできると思うようになりました。研究したこと、考えたことを、少しずつでも書きます。 古山明男 
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ベーシック・インカムの財源問題

2012/01/19 10:43
 ベーシック・インカムで、いちばん解決の難しそうなのが財源問題です。
 研究してみて、実現できる道はいくつかあるし、大丈夫だと思いました。

 一つは、税による財源確保です。
 税を財源にする場合は、所得税でやっても消費税でやっても、40〜50%という高税率になるのでそれだけで拒絶反応が起きます。ところが税率が高くなっても、そのぶんベーシック・インカムで戻ってきます。その差し引きがどれだけの負担増かという問題なのです。計算してみると、フツーの人はだいたい得になります。
 結局、税負担は所得または消費が多いほど増えるけど、ベーシックインカムによる分配は全員均等なのですから、金持ちから貧乏人への所得の平準化をやっているだけなのです。
 だから、数字を具体的に挙げて説明すれば、多数派の賛成を得られます。

 とはいえ、増税アレルギーは強いから、税による財源確保は簡単ではないでしょう。

 その場合、新通貨を出し、その通貨の一部をいつも回収し循環させて財源とする方法があります。これだと増税ではありませんし、誰のフトコロも痛めませんから実行しやすいでしょう。私は、新しい通貨として国債の一種を使う方法と、円(¥)のままローンとして出す方式の二つを設計して発表してあります。
 簡単なシミュレーションをしてみましたが、だいたい成り立ちます。ただし、シミュレーションをしてみると、落とし穴もあるし、いろんなやりすぎが発生しやすいのですが、ただのうまい話しなどあるわけがなく、注意深く運用するしかないということを発見して、かえって安心しました。
 この、「新規マネー+常時回収」の基本コンセプトで、いろいろな設計が可能でして、今後、いろんな人からいろんなアイデアが出てくるだろうと思っています。

 政府通貨を出して財源とする案も言われています。政府通貨は、通貨の量そのものが不足しているのを補う場合には、よろしいと思います。しかし、ベーシック・インカムのように毎年多額の発行を必要とする場合には、流通残高が増えるばかりでインフレが起きます。そこをどうするかの説明がしっかりしていないので、わたしにはわけのわからないままです。

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合理化の果実はどこにある

2011/12/18 13:54
 この10〜20年で、近所にあった小さなスーパーがほとんど消えました。もとは八百屋さんだとか、酒屋さんだとか、わりと流行っていた店が手を広げて、スーパーになっていたのです。
 そういう店がほとんど消えてしまって、今ではかわりに、西友とかマルエツとかいう大きなスーパーのチェーン店があります。

 こういう大きなスーパーのほうが、安くて、品揃えが豊富です。私も買い物に行きます。小さなスーパーが潰れていったのも当然だと思います。

 大規模化、合理化によって、より少ない人が働けば、同じサービスができるようになりました。

 でも、全体としての雇用はどうなっているでしょうか。
 大きなスーパーのほうが合理化されています。小さい店がたくさんあるより、従業員は少なくて済むし、人件費総体は安くてすみます。

 ですから、全体としてはけっきょく、非正規雇用が増えたり、失業が増えたりしているはずです。

 これは、合理化の持つ宿命だと思います。

 より少ない人が働けば、それで済むようになる。それは、いいことのはずですね。
 ところが、それは失業者を増やすということになってしまう。
 これは困ります。

 せっかく、少ない人が働けばそれでよくなったのです。なぜ、それを人間の自由のほうに振り向けることができないのでしょうか。
 「生活費は労賃からしか得られない」、ここなんです。ここを疑わないと、合理化の果実を手に入れることができません。

 ベーシック・インカムがあれば、合理化の果実を、手に入れることができます。

 技術の進歩や合理化で労働力が余ったら、それを”失業者”にしてはいけない。誰もが生活できるようにすればいいんです。労働力は、家庭生活の充実に振り向けてもいい、社会活動でもいい。
 失業者が、生活してくれるだけで、企業も、商店も売り上げが増えて食っていけるようになります。

 みんなが食べていけることで、みんなが潤います。みんなからの税収でベーシック・インカムの財源をまかなえばいいんです。増税が難しいなら、減価式電子マネーの発行という方法もあります。

 お金は、循環するように、循環するようにと考える。そうすると、経済はうまくいきます。

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財源をどうする

2011/12/12 19:19
 現在の欧州経済危機が、不良債権の誘爆を次々に起こして、世界的恐慌に突入してしまう可能性は高いと思われます。また、今回の危機を押さえ込んだとしても、10年はもたないと予測しています。

 恐慌になると倒産と失業が相次ぎ、大きな社会混乱が予想されるのですが、ベーシック・インカムがあれば、混乱を最小限にして、あらたな経済の建設に向かうことができます。ベーシック・インカムがあれば、失業者ゼロなのです。消費はさほど落ち込まず、それで生産もあまり落ちず、雇用も確保されます。

 ベーシック・インカムは、恐慌に対して「これっきゃない」という対策だと思います。

 しかし問題は、財源です。ベーシック・インカムには100兆円程度の財源が必要です。ちなみに、現在の政府予算が90兆円程度です。

 税を財源とすることは不可能だと思います。不況のさなかに、所得税にしろ、消費税にしろ、大幅増税をすれば、暴動ものです。

 単純に政府通貨を発行する策もありますが、これは実は全員に対する課税と同じです。通貨が信用を失ってインフレを起こし、すべての人のお金が目減りします。一度きりのことでしたら、20〜30兆円程度、政府の信用でなんとかなるかなと思いますが、毎年100兆円規模の発行は無理です。

 そこで、減価式電子マネーはよい方法になります。この案では、社会全体に貸したローンとして個人個人にベーシック・インカムを渡し、個人は返さなくて良い、流通過程で自然に返済されるようにします。
 コンピュータ時代だから可能になった、新しい方法です。

 この減価式電子マネーは、自動的に資産課税されるお金を発行するのと、実は同じ事です。課税というと嫌がられるかもしれませんが、それまでの資産には課税しません。新しいお金についてだけです。それは、出しっ放しではない、責任あるマネーを創り出すということなのです。責任あるマネーでないと、結局みんなが大損するのです。

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低金利による過剰投資

2011/12/09 00:04
 千葉市に住んでいますが、数年前、なんとか迎賓館という名の超豪華な結婚式場ができているのを見つけました。すごいなあ、きれいだなあ、ちょっとした文化財だな、と思いました。
 でも、頭に浮かぶのは、「これだけ投資して、ペイするのかな」。少子化の世の中ですし、バブルは終わってるし。

 ところが、新規の豪華結婚式場は、そこだけではないんです。もう二つほど、できていたのに驚きました。
 
 低金利時代なんですねえ。
 投資先を求めて、資金がさまよっているんです。

 これ全部が長期存続できるなんて、無理でしょう。明らかに、過当競争、過剰投資だと思います。少子化で結婚式の数自体が増えないところに新規参入したのだから、同じ大きさのパイを奪い合っているだけです。
 全部あるいはいくつかが、いずれ撤退に追い込まれる。そうしたら、この豪華な施設は廃棄するしかないのかなあ。他の使い道があったとしても、二束三文でしょう。

 資金を提供した銀行は不良債権を抱え込むでしょう。

 この三つの結婚式場の建設のため、GDPは伸びたでしょう。でも、それは一度きりです。

 「資本のお金と交換のお金」で書いたのですが、資本のお金だけあっても、使う側のお金とバランスしていないと、お金は循環しないのです。無駄な投資に終わります。

 低金利 → 投資 → 雇用の増大

 という図式は、成長期のものです。「夢よもう一度」をやっているけれど、実際は

 低金利 → 無駄な投資 → 不良債権

 となります。

 大事なのは、生活費に使われるお金が増えることです。




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できては潰れるコンビニ、飲食店、美容室

2011/12/05 10:56
 けさ散歩していたら、近所でまた消えた店がありました。しゃれたヘヤーサロンのお店。できたのは、5年前かな、7年前かな。
 小ぎれいな店でした。希望をもって始めただろうに、かわいそうになあ。店を閉めるからには、かなりの借財も抱えているだろう。

 この10〜20年くらい、たくさんの店が出来ては消えるんです。とくに、コンビニ、飲食店、美容室。
 またか、またか。
 いま、都市部で新規開業して客を集めるには、かなり資本を投下した綺麗な店舗でないといけない。銀行借り入れもそうとうにあるだろう。

 それだけ資本投下された店があまり流行らないまま閉まるのだから、銀行は、不良債権を増やしているはずですね。でも、「回収可能」としておけば、貸し倒れたことにならない。
 あるいは、担保をちゃんと差し押さえたかな。それなら当面、銀行の損はないです。けれど、店をやっていた人は貧困者になりました。格差社会が進んだ。銀行は担保を売らなければならないから、不動産価格はまた下がるでしょう。

 美容室の椅子や器具、みんな廃棄するのでしょう。もったいないね。でも、中古品に使い道はないでしょう。
 廃棄の工事はかならずあります。廃棄業者もいるでしょう。その経費はGDPに計上される。
 つぎつぎとできる設備投資は、もちろんGDPに計上される。

 次から次へと潰れるのに、次から次へとできる。低金利だものね。開設資金は銀行が提供してくれる。
 GDPはちゃんと計上される。

 でも、その裏で銀行の不良債権が増えていく。
 政府は、景気をもたせようと、大きな予算を組む。その裏で国債残高が増えていく。

 でも、次から次へとできて、次から次へと潰れるだけ。

 これじゃあ、先がないなあ。
 とにかく、人が無駄働きしているもの。

 いま、金利を下げて資本のお金をいくら提供しても、こうなってしまいます。

 ね、だからね、発想を根本的に変えて、生活のためのお金をまず増やしてしまうことを考えたほうがいいんです。

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減価式電子マネー(5) 流通の3つのシナリオ

2011/12/04 13:20
 自動返済される電子マネー(仮称『活信マネー』)を使えば、少ない資金でベーシック・インカムを出せます。さて、その活信マネーが、どのように流通するでしょうか。
 実は、予測が簡単ではないのです。人間がどう判断してどう行動するかなので、個人心理も群衆心理もからみます。状況を見て、また人間が行動を変えて、連鎖します。
 そのため、おおざっぱに3本のシナリオを立ててみました。

シナリオT 「減価マネー経済」への突入
『活信マネー』の広く使われるようになります。「悪貨は良貨を駆逐する」の法則どおり、人々は減価マネーをつまみ出すようにして先に使います。減価マネーは、貯蓄に向かないという欠点がありますが、いつもわき出るベーシック・インカムと組み合わせればその欠点が相殺されます。投資や貯蓄に使うための非減価マネーも必要ですが、そのための交換マーケットが自然発生します。経済の主流が、「減価マネー経済」へと突入します。

シナリオU 限定された使用
『活信マネー』の使用があまり広がらないが、一部のスーパーとコンビニでは使えます。食料品と日用品さえ買えれば、『活信マネー』での生活が可能になるため、ベーシック・インカムとしての役割は十分に果たします。ただし、受け取り側のスーパーやコンビニは、『活信マネー』ですべての仕入れや経費をまかなうことができないので、不足分を政府が普通マネーと交換してあげなければならない。
 これは結局、食料品と日用品の購入に補助金を出しているのと同じことになりますが、減価マネーのまま流通する部分もありますで、はじめから補助金として出すよりは、安上がりです。

シナリオV 流通が広がらない
 お店は、『活信マネー』を受け取ると、すぐに10%の手数料を払って、普通マネーに変換してしまう。それで損にならないよう、『活信マネー』での支払いは10%高い値段をつける。けっきょく、ベーシック・インカムとして出した全額を、政府が普通マネーで支払わなければならない。
 失敗の例ですが、資金さえあれば避けることができます。スーパー等に助成して、シナリオUにすることができます。

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減価式電子マネー(4) 納税通貨として認める

2011/11/27 14:28
 社会全体に対する無利子ローンとしてベーシック・インカムを出す。個人が返済する必要はないが、時間経過と共に自動返済される電子マネーなので、減価マネーとなる。
 そのような概略を説明してきました。

 いよいよこの減価式電子マネーの最大の問題を論じたいのですが、このマネーに名称を付けておくと話がしやすいので、『活信マネー』とでもしておきます。(『生活信用銀行』マネーです)
 最大の問題というのは、

 「減価マネーなんて、受け取り拒否に遭うんじゃない?」

 ベーシック・インカムとしてもらうのはいいですよね。減価マネーであっても、ないよりある方がはるかに得なのですから。

 でも、モノを売ってこの『活信マネー』を受け取った人にとっては死活問題です。それで、仕入れ代金を払い、諸経費を払わなければならないのです。仕入れ先からは、「ちゃんと普通のお金で払ってください」と受け取り拒否をされるかもしれません。従業員の給料を『活信マネー』で払ったら、従業員にストライキを起こされるかもしれません。
 その心配があるから、お店が「『活信マネー』は受け取れません」となっても当然です。
 それを政府権力で無理押しして受け取らせるようなことをしても、けっきょくは経済混乱を招くだけです。

 受け取った人にとって、絶対に使い道があるようにしなければいけない。

 それにはまず、政府自身が、『活信マネー』を受け取ることです。納税通貨として認めます。国も自治体も『生活信用銀行』に口座を持って、減価マネーとして受け取ります。そして、減価マネーとして使います。
 ある通貨が信認される条件はいくつかありますが、「納税に使える」ことは大きいです。
 そりゃ、そうです。政府が受け取らないようなら、政府自身が価値を認めていないんだから。

 だれでも、どの会社でも、なんらかの税金を払うのですから、誰にとっても『活信マネー』の使い道ができます。
 こういうお金は、いったん大勢の人が受け取るようになれば、次に使えるのですから誰もが受け取るようになるし、その反対も起こります。そのどちらのナダレ現象が起きるかは、政府が受け取るかどうかが、非常に大きいのです。

 受け取る側の国や自治体に、使い道があるかどうかの問題ですが、国や自治体の最大の支出は人件費です。『活信マネー』は、生活費として使うのなら問題があまりないので、給料の半額程度を『活信マネー』で払うことは可能だと思います。また、人件費は月々に払いますので、政府は受け取った『活信マネー』を、目減りするまえにすぐに人件費として払ってしまうことができます。

 とはいえ、政府も、税収の全部が『活信マネー』になってはつらいでしょう。納税額の半額まで、あるいは上限いくらまで、というような制限をつけることはあり得ると思います。

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減価式電子マネー(3) 減価する口座でも引き出されないために

2011/11/25 22:25
 生活者の立場からはどういうことになるかというと、『生活信用銀行』と名付けた銀行に自分の口座があって、そこにたとえば毎月8万円のベーシック・インカムが振り込まれます。その口座は、一定期間ごとに定率で、(たとえば1週間に1%)減価します。

 ほっておくと、誰もがこの口座にあるお金をどんどん引き出して、現金にするか、減価しない口座に移すでしょう。
 そりゃ、そうです。早いとこ引き出してしまえば、目減りしなくてすみます。

 ところがベーシック・インカムを渡す側としては、それは困る。この『生活信用銀行』の口座間でだけ決済してもらうというシステムだから、財政難であってもベーシック・インカムを出せるのです。もしどんどん引き出されるなら、それだけの資金を用意しなければならなくて、はじめからベーシック・インカム全額を予算から出すのと同じことになります。

 でも、引き出せない預金であったなら、『生活信用銀行』の口座にあるお金の価値は、グーンとさがります。もらった側に有り難みがあまりありません。

 そこで、こういう方法をとります。

 まずは、やはり皆様に趣旨を説明して、「財政難の折ですが、生活者も生産者もみんなが潤うようにとこの減価マネーを運用しています。この『生活信用銀行』の口座間で決済していただけるよう、できるだけのご協力を」とお願いします。理解してくれる人たちもかなりいると思います。
 でも、強制してはいけません。そして、引き出さないことのメリットが実際にあるようにしないといけません。

 実際には、引き出すのは自由だが、その際に手数料を払わなければならないこととします。たとえば、10%の手数料とします。

 そうしますと、口座から引き出すより買い物に使ってしまったほうが得になります。引き出してから使うと10%減っていますが、この口座に置いたまま買い物をすれば、そのままの額の買い物ができます。
 引き出そうかな、と思っても、いますぐの買い物がなにかあるならば、それを減価マネーで払ってしまって、いまある現金をとっておいた方が得なのです。

 それでも、10%の手数料を払ってもいいから、口座から引き出したいというケースはいくらでもあると思います。そのための資金は用意しなければなりません。
 実際、どれだけ用意するかは、財源しだいというのが現実的でしょう。もし「10兆円までなら口座引き出しに応じられる」というなら、手数料の割合を調節して、たとえば8%とか15%とかにして、実際の引き出しが10兆円程度になるようにします。

 その場合、必要な財源は、『生活信用銀行』の資本金6兆円のほかに、毎年10兆円が必要になります。
 そうなったとしても、ベーシック・インカム全額を予算から出すと思えば、めちゃくちゃ安いです。

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減価式電子マネー(2) なぜ財政難でも出せるのか

2011/11/24 00:23
(今回は、減価式電子マネー(1)が、初出のときは長かったので、その後半部分を独立させて加筆したものです)

 『生活信用銀行』(仮称)を創設し、すべての個人にベーシック・インカムを無利子ローンとして出します。これは借りた個人が返済しなくてもよくて、返済義務はお金についてまわるようにして、誰の口座に移転しようと定率を自動返済させます。この方式で、ベーシック・インカムの財源問題がウソのように解決します。その仕組みを説明します。

 ベーシック・インカムは、年額100兆円程度が必要です。ですから、この『生活信用銀行』は年100兆円程度の貸し出しをします。しかし、その資金は、貸し出し総額の6%あればいいのです。たった6%です。あとの94%は創ってしまうことができます。

 これなら、政府が財政破綻したときでも、恐慌の時でも、少ない資金で永続的なベーシック・インカムを作り出すことができます。

 どうしてそんなに少ない資金でいいのか、その理由なのですが、貸し出したローンが、そのまま『生活信用銀行』内の口座に残っていることがキーポイントなのです。

 このシステムでは、ローンを出しても、その貸し出しはそのまま『生活信用銀行』の預金になっています。決済のたびに口座間を移動するでしょうが、自行の預金であることに変わりありません。
 そうしますと、預金の量と貸し出しの量は同じですよね。
 そうでしょ、同じ銀行内の口座に振り込まれ、その銀行内の口座を移転するだけなのだから。

 考えてください。これは、預金を集めて貸し出しをしたのと同じ結果ではありませんか。つまり、持っていないお金を貸しても、ちゃんと預金の量とバランスするのです。だから、ないお金を貸してもいいのです。
 ええっ、と思うかもしれません。でも、これは現在、当たり前の銀行業務として行われていることなのです。

 銀行には、BIS規制というものがありまして、総資産の6%は自己資産でなければなりません(国内業務銀行の場合)。ですから、100兆円のベーシック・インカムを出すなら、6%の6兆円が自己資本として必要です。
 たった6兆円で、100兆円のベーシック・インカムを出せるのです。しかも、その100兆円は、回収されては次のベーシック・インカムに回せます。


 めでたし、めでたし.....


 ではありません。そうかんたんにはいかないのです。現実問題がたくさんあります。
 ただのうまい話だと受け取らないでください。慎重な運用をしないと、ただのイージーマネーになってしまいます。しかし、「生活消費という経済実体と結びつける」という枠組をしっかりさせれば、きちんと価値付けができることを示していきたいと思います。ポイントは、ベーシック・インカムと組み合わせてあることなのです。

 現実問題のいろいろにどう対応するかを考えていくうちに、この減価式電子マネーの長所も短所も見えてきます。そうすると、ほんとうに長所を生かして運用することが可能になると思います。

 次回をお楽しみに。

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減価式電子マネー(1) 社会全体に貸したローン

2011/11/20 20:35
 減価式電子マネーを創設し、ベーシック・インカムの財源とすることを提案しています。
 その概要を何回かに分けて説明していきます。

 新しい銀行を作ります。『生活信用銀行』とでも名付けます。この『生活信用銀行』に、すべての人に電子マネーの口座を持ってもらいます。そして、それぞれの個人口座に、『生活信用銀行』から無利子の銀行ローンとして、毎月ベーシック・インカムが振り込まれます。

 ローンだって? なんだ、それじゃ、無理矢理借金を作らされるということか? 
 そうじゃないんです。この、返済の仕方が、ちょっと変わっているのです。黙っていても自分の口座にあるお金が毎週1%、自動的に返済されます。

 強制的に自動的にです。

 強制的、自動的に、自分の口座にあるお金の1%が毎週返済されてしまいます。

 なんだ、ますます得にならないじゃないか、と思うかもしれません。ところがここにちょっとした仕掛けがあるのです。「自分の口座にある」お金の1%なのです。借りた額の1%ではありません。

 ということは....、

 使ってしまった分については返済しなくていいのです。

 いいですねえ。使い得なのです。
 使ったお金は、返済しなくていいのです。


 では、その使ったほうのお金はどうなるのかというと、お金を受け取る側にも、この銀行の電子マネー口座を持ってもらい、その口座に振り込まれるのです。そうすると、振り込まれたほうの口座から、こんどは毎週1%が自動的に返済されます。

 つまり、このローンは、借りた人が返済するのではなく、そのお金の時々の所持者が返済するのです。
 買い物のときは、今の電子マネーみたいにカードを持って、ぴっぴっと買い物をして、裏でコンピュータが生活信用銀行の口座間の決済を行います。

 返済義務は、お金について回るのです。お金そのものが目減りしていくのと同じです。それで、これは減価マネーなのです。減価マネーのことは、どこかしらで聞いたことがあるかもしれません。その一つなのです。

 言い換えると、このローンは「個人に貸した」とは考えていません。お金が流通している社会全体に貸した、と考えているのです。ですから、たいへん公共的なものです。このお金によって生活する人が豊かになり、買い物をしてもらった生産者も潤います、だからこのお金を手にすることになった人みんなで少しずつ負担してください、という仕組みなのです。

 この減価式電子マネーは、少ない資金で、実質的にお金を作ってしまうことができます。だから、たとえ政府が破産に瀕しているときでも、減価式電子マネーを使えばベーシック・インカムを出せます。

 そのことを、次回に説明します。

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 実は、減価式電子マネーにはバージョン1があります。それは、積み立て式国債を電子化したものをそのまま通貨として流通させようというものでした。
  「ベーシックインカムのある社会」第2部
 これは非常にわかりにくいものでした。
 賛否の渦に巻き込まれることを覚悟していたのですが...、賛同もいただかなければ、批判もされませんでした。知り合いに感想を尋ねたら、「ううん...、わからなかった。」 

 そこでもっと、わかりやすくて実行しやすいバージョンを作りました。それがこの銀行ローンバージョンです。
 これですと、新たな通貨を作り出すのではなく、円(¥)のままで、実質的な減価マネーを作り出しています。
目減りする銀行口座という形をとるのです。



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「強欲な資本家」と「怠惰な失業者」

2011/11/11 18:18
 ベーシック・インカムを考えるときに、噴出してくる脅迫観念が二つあります。「強欲な資本家」と「怠惰な失業者」です。

 「強欲な資本家の企みを打破しないと、なにをやってもだめだ」

 「怠惰な失業者がいるから、絶対にうまくいかない」


 そんなことありません。型にはまった発想にとらわれているだけです。

 資本家が労働者を束縛できるのは、労働者が賃金でしか生きられないからです。
 怠惰な失業者ができるのは、人間疎外のひどい労働を人々が強いられているからです。

 どちらも、ベーシック・インカムで消し飛びます。

 ただ、ベーシック・インカムのある社会を成立させるのに、人々の活動意欲だけは必要です。生活と社会を良くしていけるのだという実感、そのために自分にできることを容易に見つけることができる仕組み、優劣意識をあおらない教育、それだけはどうしても必要だと思います。

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資本のお金と交換のお金 過剰と過小

2011/09/28 11:10
 お金に資本のお金と交換のお金があることを言いました。どちらも同じ円(¥)やドル($)なのですが、使われる時に何を見返りに求めているかが違うのです。

 資本のお金は、使われても姿を変えるだけです。帳簿の上にはずっと残っています。株式を発行して資金を集め、それを設備や運転資金に使っても、資本金がいくらであるかはずっと帳簿に残っています。株式、貸出・借入金、公社債などがこれに相当します。
 交換のお金は、モノやサービスと交換します。使ったら、自分のところには残りません。かわりに、食料や衣料品などが手元に残ります。

 資本のお金と交換のお金が、それぞれ世の中に多すぎるときと、少なすぎるときを表にしました。

            過剰      過少

  資本のお金   バブル     生産減退

  交換のお金   インフレ    デフレ

 資本のお金は、主に銀行貸し出しが行われるときに生まれます。交換のお金は主に賃金が支払われるときに生まれます。

 90年代以降、日本でも欧米でも、経済危機を招いているのは、バブルが原因です。資本のお金の過剰なのです。

 資本のお金が余ったとき、資本のお金は消費するわけにはいかないお金ですから、運用を考えます。モノを買いあさっても、保管が大変だし、換金するのに苦労します。そこで、換金しやすく保管にこまらない、債券、株式、証券化された商品などに資金が集まってきます。それで、債券、株式、商品相場が値上がりします。それは、実態を伴わず、お金あまりだけが原因のバブルです。

 いっぽう、資本のお金がいくらダブついていても、生活資金と実質投資が増えなければ物資の値段は上がりません。それで、インフレにはならないのです。とくに2000年代は、中国と東欧が生産工場として世界経済に参入してきましたので、ずっと供給過剰気味で、モノの値段が抑えられていました。

 低金利=お金の供給過剰=物価上昇という図式があり、多くの人が信じています。しかし、政府・中央銀行が金利を下げてお金の供給を増やすと、バブルは起こるがインフレは起こらない。それが、成熟した経済の国々で起こっていることです。
 現在、金利操作は、バブルを生じさせたりはじけさせたりするのにだけ効果を上げています。お金は偏在していて、資本のお金だけが増えているのです。

 バブルとデフレが共存する、ということは起こり得ます。日本の現在はそんな状況です。不動産バブルははじけましたが、株式はバブル前の水準よりまだ高いですし、国債をはじめとした債券の低金利は、債券バブルが起こっていることを示しています。
 これはつまり、お金が偏在していて、資本のお金は多すぎてバブルを起こしているけれど、交換のお金は少なすぎてデフレを起こしているのです。

 交換のお金とのバランスが悪いと、資本のお金も価値を保てません。モノやサービスを買ってくれる人たちがいるから、投資したお金は回収でき、利益も上げられるのです。投資して回収される見込みがないなら、むなしく債券や株にお金が集まって、バブルを起こすのです。


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恐慌の崖っぷち

2011/09/25 10:59
 2011年9月下旬現在、世界経済が恐慌の崖っぷちにいます。ユーロ危機が燃え広がれば、世界全体に連鎖倒産と失業の波がひろがります。このまま恐慌にまで進むかもしれませんし、なんとかなるかもしれません。それはわかりません。
 リーマンショックの時のことなど思うと、けっこうしぶとく持ちこたえる可能性が強いかと思います。ギリシャに対して、ユーロを離脱するか財政自主権を放棄するかのどちらかだ、と迫る手段は残っています。あるいは、ドイツが、自国がボロボロになる覚悟を決めれば、ユーロを救えます。欧州中央銀行が、アメリカの連邦準備銀行みたいに不良債権の大量買い取りをやると決めれば、2,3年の延命はできます。
 しかし、ユーロはアメリカのドルと違って、財政も政治も寄せ集めなので、策を決断できないままずるずると危機に突入してしまう可能性もあるか、とも思います。

 この経済危機は慢性病です。急に起こった病気ではありませんし、急に良くなることもありません。世界経済は、ずっと崖っぷちを歩いているのです。たまたま、ギリシャ国政府が借金(国債)を返せなくなるというわかりやすい症状が出ただけです。
 現在世界中で、返せっこない借金をしこたま抱えた国や企業がたくさんあります。そういう国や大企業のどこかが「もう返せない」というと、そこに貸している金融機関が倒産する。そうすると、取り付け騒ぎが起こるし、誰もが早いうちに債券を回収しようとする。それでまた、たくさんの倒産が起こる。そういう連鎖反応です。

 どうして、返せっこない借金を抱えた国や企業がたくさんできるのか。
 原因は不動産バブルと株式バブルがはじけるためです。先進国では、お金が作られすぎたときインフレは起きません。かわりにバブルが起きます。ところがバブルを精算するのが難しい。貸し倒れを処理しようとすると大銀行が潰れて恐慌になる。それで、返済の見込みがないのに追加の融資をして企業と銀行を生き延びさせる。そのため、不景気が長引く。
 日本のわれわれが、この20年で、たっぷり経験してきたことです。

 国は、直接にはバブルに関係していませんが、バブルで起こった不況をなんとかしようと国債を発行して無理な支出を行い、財政を苦しくしていきます。バブルというバクチで負けたツケを、国が払ってやっているようなものです。でも、恐慌と失業には耐えられないから、しょうがないのです。

 バブルはマネーゲームです。マネーゲームは、奪い合いをしているだけのゼロサムです。それより、すべての人の生活水準を上げ、住みやすい環境を創り、福祉や教育を充実させたほうがよほどお金が生きます。みんなが豊かな生活ができます。企業にとっても、もっとも望ましいことは、みんなが豊かであってモノを買ってくれることです。

 お金の循環が滞りマネーゲームを起こしてしまう根本的な原因は、生産に対してはいくらでもお金が流れるのに対して、個人の生活費は企業のおこぼれとしてしか回らないことと、福祉・環境・教育などを充実させるための資金が足りないことです。お金の行き場がなくなって、マネーゲームに走るのです。

 ほんとうに豊かな生活をするのに必要なものに対して、お金と労力が注ぎ込まれるようなシステムを作るには、どうしたらよいか。われわれは、その問いに直面しているのだと思います。
 この問いに答えないならば、経済危機の対策は弥縫策に終わるし、たとえ乗り切ったとしても、また同じことを繰り返します。

 ベーシックインカムは根本的な答えの一つです。

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資本のお金と交換のお金 比率

2011/09/23 00:46
 4月に、お金には「資本のお金と交換のお金」があり、今の日本で資本のお金はたくさんあるが、交換のお金が不足しているのだ、ということを述べました。それを数字にしてみます。

 交換のお金はGDPを考えます。GDPは、実際にモノやサービスとの交換に使われたお金の総額です。すべての人の支出の合計なのです。
 資本のお金は、金融資産全体を考えます。

 金融資産というのは、一口で言えば人々が持っているお金の総額です。ただし、現代では「お金」といっても現金とは限りません。現金だけでなく預金も「お金」です。預金のままで、支払いができます。
 貸したお金も、自分のお金の一部です。社債や国債などの債券類も預金みたいなものです。株式も、値段の変動はありますが、いつでも換金できる預金みたいなものです。保険や年金の積立金も、いつか返ってきますから、預金のようなものです。これらすべてをまとめて金融資産と呼んでいます。

(兆円) GDP   金融資産  GDP/金融資産
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 1970   73     296      0.247
 1980   243    1501     0.161
 1990   443    4456     0.099
 2000   503    5635     0.089
 2009   471    5508     0.086

 70年には、金融資産に対するGDPの比率は高かったのでしたが、どんどん下がっています。この様子を、グラフにしてみました。1970年に約0.25だった比率は、70年代と80年代にどんどん低下します。70年にはGDPを稼ぎ出すのに、GDPの4倍くらいの金融資産があれば足りていました。
画像


(国民経済計算年報 平成22年 より)

 この間、GDPも増え続けていましたから、この比率低下は、金融資産の伸びがGDPの伸びよりはるかに大きかったことを示しています。
 この時期は、高度成長が終わって安定成長期になりました。利益率の高い投資が減りました。また、値上がり益を目的として不動産と株式に対する投資が多くなります。不動産と株式に対する貸し出しが増えて、お金の総量はどんどん増えたのですが、経済活動そのものはそれほど増えていなかったのです。

 1990年、バブル崩壊によって、この比率低下は終わりました。不動産と株式を買うための銀行貸し出しが増えなくなりました。そのためお金の総量が増えるということがなくなりました。しかし、比率は元には戻りません。資産の価値を保つため、低金利政策で、お金の総量が減らないようにしているのです。

 現在のお金のかなりの部分は、経済活動による収入とはあまり結びつかずに、貸し出しや不動産や株や債券になっています。しかし、生産活動を維持するのに、こんなに金融資産は必要ありません。貸し借りが水ぶくれしているのです。たとえば、税収の20年分も発行された国債は、水ぶくれ状態です。
 現代のお金は、貸し借りの関係を元にしています。貸し借りの、貸しのほうをお金と考えているのです。お金が価値を持つかどうかは、借りのほう、つまり貸し出しや債券に、資産や収入の裏付けがあるかどうかなのです。

 銀行貸し出しによってお金が増えるシステムでは、金利をいくら下げても、資本のお金しか増えません。不況下では、生産活動や収入の増加に結びつかないのです。交換のお金、つまり生活のためのお金は、増えないままです。

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現代のお金

2011/09/18 05:49
 現代のお金は、金貨や銀貨を作ってそれを発行するシステムとはまったく違います。
 現代のお金は、預金や証券を、そのまま人から人へと流通させているものです。

 現代ではお金が生まれるのは、銀行が貸し出しをしたときです。貸し出しがあると、借り手の預金口座の数字が増え、それに見合った返済約束が生じます。増えた預金口座のお金は、それから支払いに使われて流通をはじめるのです。たいていは、預金口座のまま流通します。一部は日銀券の形になって、買い物に使われます。
 貸し出しが返済されるか、貸し倒れになると、お金の総量が減ります。

 現代のお金は、政府が一定額を発行して流通させているのではなく、市場で生まれて、膨らんだり縮んだりしています。

 このような、経済の実態に応じて伸縮するお金のシステムがあるのに、消費者には賃金というパイプでしかつながっていません。
 経済活動をしていれば、どうしても貧富の差が生じます。不況で失業者が増えることもあります。そうすると、いっそうモノが売れなくなって、また失業者が増えるという悪循環が生じます。そこから、すべてが破綻してしまうのです。それは実際に何度も起こってきました。

 経済活動は、生産と消費の両面がバランスして成り立ります。
 ベーシック・インカムは、「生活費が安定しない」とう問題を解決して、生産と消費のバランスをとろうとするものです。

 人々がほんとうに必要とし、必ず使うお金であるならば、税として集めて人々に渡すことを怖れる必要はありません。それは、経済を活性化させます。お金は血液と同じで、流れていることが大事なのです。
 税が無理であるならば、消費の側にもお金を創りだして、保有と流通の経路で自動回収するシステムを作ることができます。

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紙幣が価値を持つ理由

2011/09/16 09:49
 紙切れでしかないお金がなぜ価値を保つのでしょうか。このことが不思議でした。

 「金貨と交換します」という兌換紙幣なら金貨と同じ価値を持つことはわかります。でも、現代の紙幣で、金貨との交換を保障しているものはありません。

 不換紙幣でも価値を持てる理由は、お金が生まれるのは銀行が貸し出しをするときである、ということを知ったときにわかりました。

 銀行は、ある範囲でなら、持っていないお金を貸してしまっていいのです。そのときにお金の総量が増えます。

 そんなことをしていいのですか? それで無責任にお金が増えてしまわないのですか?
 お金が無責任に増えることを防いでいるのは、銀行がむやみに貸し出しをすれば、そのお金は貸し倒れになることです。貸し倒れが起こると、銀行は自分の損になります。倒産することもあります。

 貸し倒れにならないように銀行は担保を取ります。返済の裏付けのない貸し出しを、銀行はしません。
 借りる方からすると、ただお金をもらったのではなく、自分の持っている資産を一時的にお金の形に変えているのです。

 現代のお金は、すでにある資産を”流動化”しているものなのです。無から生まれるのではありません。担保があって、それがお金の形になっています。
 つまり、現代のお金の価値を保障しているのは、その社会の資産と経済活動そのものなのです。

 もし、いい加減にお金が創られれば、それはたちまち銀行の不良債権という形で現れます。不良債権を不良債権として処理すれば、つまり銀行がちゃんと損をすれば、無責任に増えたお金はちゃんと消滅します。それで自浄作用が働きます。

 ところが、大問題があります。大銀行を潰すと連鎖倒産が起こって経済活動そのものが破局を迎えます。そのため、小銀行は潰れますが、大銀行は潰すに潰せず、自浄作用がちゃんと働かないのです。大銀行の無責任な貸し出し、つまりお金の創造が、まかりとおってしまうのです。

 大銀行が潰れても大丈夫な社会を創らなければならない。
 ベーシック・インカムはその役割を担うことができます。

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「生産」から「生活」へ

2011/09/10 17:42
 経済的価値を生み出すものはなんでしょうか。
 生産でしょうか。モノやサービスを作る人がいて、それを売って経済が成り立ちます。売り上げの一部が、利益や人件費になり、それで人々は生活します。生産がなければ人件費はありえないのだから、すべての人は生産に寄与すべきです。
 これがいまの常識です。

 この常識は、それ自体は間違っていないと思います。しかし、一面からしか見ていないと思います。
 視点を変えると、ずいぶんと違って見えるものです。生活者の立場から見てみましょう。

 人間は生活するのにモノやサービスを必要とし、それを買うから経済が成り立ちます。消費のために支払われるお金から、仕入れも、設備も、税金もまかなわれます。それで生産が成り立ちます。消費がなければ生産はあり得ないのだから、すべての人は消費に寄与すべきです。すべての人の生活を無条件で成り立たせるべきです。

 生産する人がいるから経済が成り立つのでしょうか。
 消費する人がいるから経済が成り立つのでしょうか。

 どちらも必要です。当たり前ですね。

 現実はどうなっているのでしょうか。先入観を持たずに、「現在の経済は、なにがネックになっているのだろうか」と見てみましょう。日本では、人々が働かないので、モノが不足しているのでしょうか?
 違いますね。モノ不足ではないのです。街を見れば、遊休設備が多いことに驚かされます。コンビニやガソリンスタンドは、出来ては潰れています。100円ショップがあることも驚きです。

 雇われている人たちは、よく働いています。潰れる会社は、従業員が働かないからですか? 違います。生産物が売れなかったからです。商品に魅力がなくて競争に負けたのです。経営者も従業員も一生懸命に働いたけれどがむしゃらに働いただけではどうにもならないのです。

 いま、働いていない人たちが働けば、経済が上向くのでしょうか。でも、いったい何をして働くのですか? 労力さえ投入すればいい生産現場があるのでしょうか。そんな「作りさえすれば売れる」という羨ましい生産現場は、日本にはありません。
 農業時代なら、子どもや老人や怠け者たちまで駆り出して草取りをすれば、それなりの効果はありました。でも、工場や事務所では、子どもや老人にウロウロされたら、かえって生産が落ちます。
 だれでもできる仕事ということだったら、公共施設の清掃ですか? ボランティアの社会奉仕ですか? でも、それに対して給料をあげなければ、その人たちがモノを買ってはくれないから、経済は上向きません。

 ながらく、「生産本位制」と言っていい経済の考え方がありました。生産が価値を生み出すのだから、生産にお金と労力とノウハウを注げば経済はうまくいく、という考え方です。資本主義も、社会主義もこの枠の中にあります。

 しかし、現実は「生活本位制」で考えたほうがうまくいきます。価値を生み出しているのは人々の生活そのものであり、人々が生活することが、モノやサービスの必要性を生み出し、経済を成り立たせています。まず、生活水準を確保しましょう。生産力はあり余っているのです。

 企業に全員でぶら下がって、企業によって食おうとしなくてよろしい。企業は企業の論理に従って、少数精鋭のほうがいい。企業が無能な人間まで抱え込む必要はない。働くのが嫌いな人間は働かなくてよろしい。
 食うことと雇用を切り離す。企業を雇用確保の呪縛から解き放ちましょう。生活者を雇用されることの呪縛から解き放ちましょう。生活はベーシックインカムで最低保障します。

 けっこうなことですね。
 でも、こう述べてくると、どうしても出てくるのが「では、ベーシック・インカムの財源は?」です。たしかに これが大問題です。
 私は、消費税がもっとも筋がよいと思います。ゲッツ・ウェルナーの「すべての人にベーシック・インカムを」(現代書館)の消費税財源論は、納得できるものでした。ベーシックインカムと組み合わせると、「貧者に増税」という消費税の最大の欠点が消えるのです。
 しかし、現実的に、何党の政権でも大増税はできません。やれば潰れます。消費税によるベーシック・インカムの実現は難しいでしょう。

 そのために、第2案として「電子式減価マネー」があります。2年前に発表しました。賛成にも反対にも出会いませんでした。賛成・反対以前の問題で、なにがなにやらわからなかったみたいです。

 その後、研究を重ねました。電子式減価マネーは、優れモノだと改めて思いました。じっくりと、誰にでもわかる言葉を作りだしていくつもりです。

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ベーシックインカムがあれば

2011/08/26 20:09
 世界的な経済危機が遠からずやってきそうです。
 それは来年だろうか、4、5年先だろうか、わかりません。でも、10年以上先延ばしするのは無理そうに思います。今年中に起こったとしても、おかしくはないのです。
 そのとき、ベーシックインカムがあれば、混乱を最小限にして乗り切ることができるでしょう。

 リーマン・ショックのとき、世界経済はそのまま信用恐慌に突入しそうでした。あれから3年、各国の弥縫策は功を奏しました。世界経済はそれなりの小康状態にあります。
 しかし、残念ながら、この弥縫策は持続可能ではありません。バブルがはじけそうになると、もっとバブルを作り出しているだけなのです。そのバブルの資金は国と中央銀行が供給しています。
 ところが、国には「もうこれ以上は国債を発行できない」という上限がどこかにありますし、中央銀行には「もうこれ以上は不良債権を買い取れない」という上限がどこかにあります。
 ある日、株式市場が大暴落しても債券が大暴落しても、国も中央銀行も、もう収拾する資金力がない、そういう日がやってきます。

 根本的な原因があります。
 株や債券でのマネーゲームの資金はたっぷりあるのに、人々の生活資金と、公共財を充実させる資金が不足しているのです。人々の暮らしが充実しないまま、株や債券の値段だけがバブルを起こして上がる。その自律的調整がバブル崩壊なのです。この自律調整はあったほうがいい。

 しかし、バブルがはじければ、企業が倒産し失業者が増えます。それに耐えられないので、国も中央銀行も不良債権を抱えた大企業を助け、最後は破局をもたらすまで続けます。

 ベーシックインカムがあれば、失業者が出ても、社会恐慌にはなりません。生活のための消費が下支えになって、景気の落ち込みが最小限で済みます。
 ベーシックインカムがあれば、不良債権のウミを出し切ることができる。軍備増強などではなく、生活を充実させるところから、経済を再編することができます。

 そのとき、政府に財源はもちろんないでしょう。増税も不可能でしょう。しかし、電子式減価マネーを創設すれば、自動的に定率回収して次の財源にできます。総量のコントロールが可能なので、通貨の価値を保てるでしょう。

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資本のお金と交換のお金

2011/04/11 11:49
 お金は、その働きから見て、「資本のお金」と「交換のお金」に分けることができます。もちろん同じ¥(円)なのですが、働きが違います。

 交換のお金は、ふだん私たちが買い物をするときのお金です。モノやサービスと交換します。回収することを考えていません。使えば、他人にわたります。

 資本のお金は、貸したお金と理解すればいいです。100万円を借りた人が70万円の商品を仕入れ、30万円を経費に使っても、基の100万円は同じです。その売り上げが80万円しかなくても、貸したお金は100万円のままです。
 元手の100万円は形が変わります。しかし、貸した側の100万円が消えるわけではありません。
 資本のお金は、いろいろと形を変えますが、元の帳簿にきちんと残っています。

 バランスシート(貸借対照表)のことを理解できるなら、バランスシートの右側(資本・負債)のことです。

 現在の日本で、資本のお金は銀行がいくらでも作り出してくれます。
 ところが、交換のお金、つまり生活費のほうが不足気味なのです。買ってくれる人がいないと、生産も尻すぼみになっていきます。
 生活費のほとんどは賃金として生まれますが、それは、生産活動のおこぼれとしてしか回ってきません。それで、「資本のお金」と「交換のお金」とのバランスが悪くなってしまうのです。 

 大不況が来るときは、貧富の差が大きくなって、お金のある人たちはマネーゲームに熱中しています。お金のある人々が、資本のお金として殖やそう殖やそうとしているけれど、賃金はできるだけ抑えようとします。

 そこで、ベーシックインカムを出してバランスを取ろうという考えが出てきます。
 いくら利子を下げても、銀行貸し出しを緩めても、交換のお金が増えないと、生活は向上しないのです。

 金持ちの振る舞いが問題というとマルキストみたいですが、私はマルキストではありません。実際の経済がどのように動いているのか、それだけに基こうと思っています。

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ベーシック・インカムの経済効果

2011/03/11 18:40
 知人に就労支援の相談をしている人がいます。相談に来る人の中には、これは生活保護を受けたほうがいい、という人もいます。しかし、生活保護をすすめてもやはり先入観があって、「そこまで身を落とすわけにいかない」と、なかなか受けようとしないケースがあるのだそうです。
 そういうとき、こう説得するそうです。

 あなたが生活保護をもらって暮らせば、そのお金がスーパーの店員の給料になる、工場で働く人の給料になる、野菜や果物を作る農家の収入になる、それでみんなが潤うのです。いま、景気が悪いのは、みんながお金を使おうとしないで貯め込むからです。あなたが生活するためにお金を使うこと自体が、立派な仕事なのです。
 相手の人は、キツネにつままれたような顔になりますが、それもそうかと納得するそうです。
 これが実は、ベーシック・インカムの経済的効果のもっともわかりやすい説明なのです。

 お金というのは、使われるときに、みんなを豊かにしていきます。お金を使うときに、食べ物や衣服などが人の手に渡り、それぞれの生活が豊かになるのです。
 野菜を作っている人がいるとして、道路がないと消費者に届きません。せっかく作った野菜は腐ってしまいます。同じように、お金がないと生産した野菜は消費者に届かないのです。お金をもらわないと、農家の人だって次の生産をすることができなくなってしまいます。お金は、生産者と消費者を結ぶ道路のようなものです。

 われわれの経済では、作りすぎたモノを腐らせたり廃棄処分したりしているいっぽうで、たくさんの人たちが生活苦に苦しんでいます。われわれは、なんとばかばかしいことをしているのでしょうか。それというのも、お金は稼ぎ取るものであって、貧乏人をやたらに助けてはいけない、という考えにわれわれが囚われているからです。

 そうではないのです。お金は公共のものです。人から人へと流れていることに価値があります。中でも、最低生活費というのはよく循環します。そこに、いつもスムースに流れるお金の流れを作ってしまえばいいのです。それがベーシック・インカムです。

 モノを作る人たちが「私が作っているからあなたたちは食えるんだ」と言います。それは正しいのですが、消費者が「私が買うからあなたたちが食えるんだ」というのも正しいのです。これまで、生産だけが経済であるように思い込まれてきました。そうではなくて、消費も立派な経済活動なのです。

(初出 『フォンテ』2010年11月15日号

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