ベーシック・インカムは弱者保護と違う発想

 こういう意見によく出会います。
「ベーシック・インカムって、働く人も働かない人も同じにお金をもらうんですか」
「はい、そうです」
「同じなんておかしいですよ。働いている人がやる気をなくします」

 これは、生活保護の場合と混同しているんです。
 ベーシック・インカムの場合、働いた人と働かない人は同じではありません。働いた人は、給料をもらったうえに、そのうえベーシック・インカムももらいます。働かない人は、ベーシック・インカムだけです。働いた人は、稼いだ分だけ収入は多くなります。

 生活保護は弱者保護です。働かなくても、働いている人に近いお金をもらいます。そうすると、働いている人が大きな声じゃ言えないけれど、不満です。「働いても働かなくても同じかよ」って。それから「働けないってウソつけば、働かなくてお金もらえるじゃないか」って。
 それで、生活保護を受けるときはお役所の厳しい審査があります。「あなた、ほんとうに困っているんですか」って。だもんで、生活保護は受給資格者の2割くらいしかもらっていないんじゃないか、っていう推定があるくらいです。

 ところがベーシック・インカムというのは、発想がまったく違うのです。ベーシック・インカムは、働いている人ももらえます。弱者だろうが、強者だろうが関係ない。働こうが働くまいが関係ない。すべての人に、無条件で一律に支給します。

 ベーシック・インカムは貧困救済ではありません。そこが大事なところです。「困っているからあげましょう」ではないのです。「あなたもわたしもみんな人間。生きていく権利は誰も同じ」ということなのです。だから、いっさいの差別をしない。たとえ、お金持ちであっても差別しない。みんな人間じゃないですか。いらないお金なら、どこかに寄付していただけばいい。

 ベーシック・インカムは、労働の動機付けを大きく変えることになるでしょう。「働くのがつらかったら、無理しなくていい」ことになるからです。これは、人々を自由にし、社会に大変化を起こします。

 今の学校が、何も学んでいなくても、いじめられても、とにかく来させるのは「社会に出たときのため」です。我慢できる人間に訓練してあげれば、その子が生きていけるからです。たしかに、休まず遅れず文句を言わず、言われたことだけやっていれば、なんとかは食っていけるというのが社会の現実です。しかし、我慢できる人間に訓練するために、いろいろと理不尽なことを押しつけて、正邪善悪の感覚をマヒさせてしまうのです。

(初出 『フォンテ』2010年10月1日号)

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